300円のミラノ風ドリアが、日本観光を動かす

 



〜日常価格で味わえる「おもてなし」という贅沢〜

観光の魅力といえば、古都や自然、伝統文化や食。
もちろんそれらは日本の強みですが、世界を見渡せば似た資源はたくさんあります。
では、日本が世界と大きく違う部分はどこか。
それは「チップなしでも丁寧なサービスが当たり前」という文化です。

しかも、この「おもてなし」は高級旅館や一流レストランに限らず、
牛丼屋やファミレス、駅前の小さな食堂にも浸透しています。
500円の牛丼でも、「いらっしゃいませ」。
テーブルは清潔で、水やおしぼりも無料、調味料やドレッシングもたくさんあります。
世界的に見ても、ここまで低価格とサービスの均質性が両立している国は稀です。

最近では、サイゼリヤなどでも外国人スタッフが増えていますが、驚くのはその接客品質。
国籍に関係なく、日本で働くと自然と「ありがとうございました」と笑顔で言えるようになる。
これは個人の性格ではなく、職場文化そのものが日本式になっているからです。
接客マナーが共有され、全国どこでもほぼ同じ安心感がある。
観光客から見れば「どこに入っても外れない国」という印象になります。

想像してみてください。
イタリアから来た観光客が、観光地の高級レストランではなく、街角のサイゼに入るところを。
300円のミラノ風ドリア――正直、イタリア料理ではないし、本場の味とは違うかもしれません。
けれど、店員の丁寧な対応に「日本っていいな」と感じる。
その小さな体験こそが、「また日本を選びたい」という気持ちを生むのです。

もちろん、価格設定には経済原理があります。
人件費や原材料費の高騰、観光シーズンの繁忙対応、外国人需要など、値上げには理由があります。
それを否定するつもりはありません。
ただ、短期的な利益と、長期的なブランド価値は別物です。

もし日本が「どこに入っても丁寧で安心」という評価を失えば、
長期的には観光客のリピート率が下がり、SNSでの好意的な拡散も減ります。
逆に、適正価格で安定したサービスを維持すれば、
「この国はお客を選別しない」という安心感がブランドとして定着します。
誰であっても同じように迎え入れてくれる、その平等さは、観光客にとって大きな信頼につながります。

観光資源は世界遺産や絶景だけではありません。
何気ない街角のファミレスや食堂で、
言葉が通じなくても笑顔で迎えてくれる――そんな日常こそ、日本ならではの贅沢です。
300円のミラノ風ドリアに込められたおもてなしが、日本観光の未来を動かすと思いませんか?



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